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東京で猟師を目指す家具職人です。見るもの聞くことはじめてのことばかり。本当に東京で猟師ができるのか?記録として残します。


by 東京マタギ

出猟33

今猟期も残すところ5日(鹿猟に限っては今月一杯)。人生初めての猟期がもうすぐ終わる。解禁早々に鹿を仕留めて以来、仕留められない日々が続き「今期はあれだけか。ビギナーズ・ラックだったのかな。」と思い始めていたところ、山の神様が久々に恵みを授けてくれた。しかし若干の悔しさ、情けなさが残る一日だった。

今日はたくさんのチャンスがあった。タツマに着いた早々、腰も下ろさぬうちにイノシシが現れた。距離50。実は荷を降ろし放尿の真っ最中。しまうのもそこそこに大慌てで銃を構える。最初犬かと思いしばらく様子を見てしまった。イノシシと気付いてからは何か慌ててしまって、、結局一発撃ったがおっぱぐってしまった。イノシシ猟は15日まで。またあの美味いスペアリブを食いたかった。

気を取り直し待ち伏せに専念する事2時間。犬が騒ぎ始めた。ガサガサと枯葉を踏む音が近づいてきた。雌鹿が2頭、スキップをしながら余裕を持って犬から逃げて来て木の陰で止まった。距離40。こちらには気付いていない。「こういうチャンスをまっていたんだよ!!」次に出てくるであろう木の横の空間に照準を合わせる。犬が近づく。鹿が再びスキップで動き出した。ダーン!ダーン!、、倒れない。。そして走り去っていった。「なんでだ!!??」あれが当たらないんじゃもう引退なんじゃないか?激しく落ち込む。血を引いてないか見に行ったがなかった。

「マタギちゃんよー。あっちの登山道の方行ってくんねーか。ひょっとしたらあっちも来んぞ。」しばらくして勢子のTさんから無線が入る。事実上の左遷に違いない。
その後無線越しに「7頭そっち(ワタシの方ではない)行った~!」そしてあちこちで銃声、「外しました~」「1頭止めたぞ!」。。あっちの方は賑やかだった。

ひとり窓際でふてくされ、倒れた巨木の上で昼寝でもしようと丸太にまたがったそのとき、静かに動く影、足音もさせずとぼとぼ歩く雌鹿を見つけた。群れからはぐれたのかひとり、、一匹で所在なさげにしていた、まるでワタシのように。距離35。向こうは気付いてない。「これを外したらクビだ。」背水の陣で臨む。「ダットが合ったら迷わず引け」「引き金はすーっと引け」師匠の言葉が頭をよぎる。ターン!  鹿が静かに倒れた。
「マタギです!止めました!」

あとで師匠に左遷の話をした。
「Tさんはなるべくみんなに撃たせてやろうと思ってるんだ。群れを犬や鉄砲でかき混ぜると、パニックになって群れからはぐれるヤツがいるんだよ。」
そうだったのか。Tさんはそこまでお見通しでワタシをあそこに配置したのか。。

今日は結局全体で3頭仕留めた。すっかり終了が遅くなったが、うどんはいつになく美味かった。
Tさんと鹿に感謝。

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by hadashi_no_ken | 2018-02-11 20:54 | 出猟